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● エルフ考 ●

 さて、エルフです。「シルマリル」未読者の方にご説明がてら、ワタクシが突っ込んでいる(笑)エルフについて語ってみたいと思います。

 その前に、どうしても絡んでくるので、神様系の御説明を少々。
 まず唯一絶対神がイルーヴァタアル(エル)。その下にアイヌア(ヴァラール)。その下にマイア(この中で能力を限定されたものが、おそらくイスタリと呼ばれるのかな?)となっています。
 ヴァラールの代表としては、マンウェとかヴァルダとかマンドスとか
。悪に堕ちたヴァラールがメルコール(モルゴス)。
 マイアの代表は、シンゴル王の妃・ドリアスの王妃であるメリアンとか、ガン爺、サルマンを代表とするイスタリたち。悪に堕ちたマイアはサウロンやバルログ。
 と、こういう感じになっています。

 では、エルフ考、いきます♪

*エルフ三種族のこと*

 世界(アルダ)に太陽も月もまだなく、星明かりだけがあった時代に、一番最初に誕生したのがエルフです。あの世界での唯一絶対神・イルーヴァタアル(別 名・エル)の長子と言われる所以ですな。
 エルフには三種族あります。
 金髪のヴァンヤール族。黒髪のノルドール族。銀髪のテレリ族。
 髪の色は、その色が多い、という程度のことらしいです。各種族、いろいろ婚姻関係を結んで混血しているし、資料によってはっきりしないところもあるようですから(^^;  例として、ガラドリエルやグロールフィンデルはノルドールだけど金髪ですし、レゴ・パパのスランドゥイルさまは、シンダール(テレリの一派)ですが金髪です。

 さて、世界には「中つ国」と「アマン(至福の地と映画で言われていますね)」があるわけですが、ある時、諸神(ヴァラール)は、エルフ族を自分たちのお膝下であるアマンに呼び寄せようと考えます。指輪の時代から1万年近く昔の話になりますかね。
 しかし、いきなり来いといってもエルフの方もビビる。それまでヴァラールなんて見たこともなかったからです。
 で、ヴァラールは各種族の代表を一人ずつ、先にアマンに呼び寄せます。この三人、ヴァンヤールのイングウェ、ノルドールのフィンウェ、テレリのエルウェ(後のシンゴル王)が、のちに各種族の王になります。
 至福の地の素晴らしさを見てきた三人は、自分の種族を説得してアマンに向かいます。一番問題なく移住したのがヴァンヤール。二番目にアマンに渡ったのがノルドール。最後になったあげく、けっこうバラバラに分裂してしまったのがテレリです。
 この時、西のアマンに渡り、ヴァラールの近くで暮らしたエルフのことを「カラ・クェンディ(光のエルフ)」、結局西のアマンに行かなかったエルフのことを「モリ・クェンディ(闇のエルフ)」と呼びます。
 指輪に名前が出てくるエルフで言うならば、明確に光のエルフだと判っているのはガラドリエルさまだけかな? もしかすると、グロールフィンデルもそうかもしれません(彼の場合は、いろいろ説がありますので、どう考えるかなんですが)。
 この「光のエルフ」と「闇のエルフ」との間には、エルフと人間ほどの能力の差があると言われています。

*ヴァンヤール族*

 全エルフの中で、一番上位 に見られる種族。王のイングウェは、全エルフの上級王とされています。(どうもこの名前だと、ギター持って早弾き始めそうな気がするんですが(^^; )
 ヴァンヤールは、上古、一番最初のヴァラールのお呼び出しでアマンに行ったっきり、第1紀最後の戦いに参加した以外では中つ国に戻ってきませんでしたので、物語の中にはあまり登場しません。
 ガラ様は、母方からこのヴァンヤールの血を引いています。彼女の金髪は、おそらく母方からの遺伝と考えられるわけですね。父はノルドールの初めの王、フィンウェの息子・フィナルフィン。強いはずです(笑)。

*ノルドール族*

 もう、この種族がエルフ中最大の問題児です。「智恵のノルド」と言われているのですが、私は「激情のノルド」と申し上げたい(^^;
 知識があり、技術に優れた種族とされています。
 ホープ・ダイヤもまっ青の「呪いの宝石」となってしまった「シルマリル」を作ったのもノルドールなら、第1紀の瞑王モルゴスにそそのかされてヴァラールに反抗し中つ国に舞い戻ったのもノルドール。
  その強引な帰還の過程で、エルフ初の同族殺しをしでかしたのもノルドール 。
  中つ国で二度目の同族殺しに手を染めるのもノルドール。
  あげくにシンゴル王の王国・ドリアスを最終的に滅ぼすのもノルドール。
  指輪物語に出てくるいろいろな魔法の指輪を、サウロンにそそのかされて作るのもノルドール(「力の指輪」だけは、サウロンが自分で製作。ただし、その技術を学んだのはノルドールから)。
 いろいろなエピソードを見ていくと、ノルドールさえいなければ、エルフさんたちは平和に暮らせていたのではないかと、マジで思います(^^;
 ヴァンヤールからは一種超越してしまった、エルフというよりはヴァラールやマイア(つまりは神様系)に近い印象を受けるのとは正反対に、 ノルドールはものすごく激情家で生々しい印象があります。

 ノルドールの三王家の王のひとりフェアノールは、モルゴスにそそのかされヴァラールを疑った挙げ句に、モルゴスに奪われた自分の作品・シルマリルを取り戻す為に中つ国まで民族大移動を始めます。その過程で、海を越えるのに船が必要だからとエルフの中で唯一船を持っていたテレリ族を殺してそれを奪います。
 それだけではなく、船にはノルドール全員は乗れないからと、自分の身内さえ騙くらかして裏切り、弟たちの王家の者は置き去りにします。この時、置き去りにされたがわのフィナルフィン王家の姫が、ガラドリエルさまです。
 とにかくこのフェアノール。彼が諸悪の根元?(^^;
 彼が起こしたこの非道のために、ノルドールは「もう西に戻ってくんな。絶対神が決めたことだから病気で死ぬ ことはないだろうが、殺されたり悲嘆にくれたらおまえたちは死ぬだろう」と、ヴァラールに呪われてしまいます。 (この呪いはエアレンディルのお願いによって、西への帰還については許されるわけですが)

 とにかく、我侭、強引、傲慢、強靭、トラブル・メイカーというのが、私の第1紀〜第2紀までのノルドールに対する印象です。 >シンダールのファンだからかしら〜(笑)。
 まあ、ただし第3紀(指輪戦争の時代)にもなりますと、さすがのノルドールも枯れてきます(笑)。ガラさまやエルロンドさまが大変おとなしいのは、やはりそれなりの時間を過ごしてきたからなんですね。

*テレリ族*

 私の好きなシンダールは、ここの種族の人です(笑)。
 一番数が多く、エルウェとオルウェという兄弟が二人で王様をやっていました。
 テレリとは「最後に来た者」の意。先に西に行った者たちからそう呼ばれたのですね。自分たちでは「リンダール(歌い手)」、と自身のことを呼んだのだそうです。 名前の通り、エルフの中で一番歌が上手い種族だとか。
 ということは、レゴラスも歌がお上手ね〜♪ ホビットも歌ったし、王様もガン爺も歌ったので、是非映画でレゴが歌うシーンが欲しいところですね。

 このテレリ、西に行かなかった時点でいろいろと種族が小別れしてしまいます。
 まず根本的にヴァラールの呼びかけに答えなかったものが「アヴァリ」。
 途中までは呼ばれて行ったんだけど、やっぱり引き返したものが「ナンドール」。←これが後の「シルヴァン・エルフ」と言われています。
 そして、西への旅の途中、行方不明になったエルウェを慕って残ったものと、最後の最後で海の近くに居残ったもので、その後見つかったエルウェを王として中つ国に王国を築いたものが「シンダール」。←この王国がドリアス。
 エルウェがいなくなったので、仕方なく弟オルウェを王として西に渡ったものが、そのまま「テレリ」というわけです。

 このテレリ族。いつでも酷い目にあっています。
 なんだかいつも格下っぽく扱われていたり、船を造るか歌を歌うかしか芸がないような書かれ方をしています。特にシルヴァン・エルフなんて、自分たち独自の文字がないとか粗野だとか、散々な言われ方だ(^^;
 実際幾人かの、シンゴルやベレグやスランドゥイルなどの強烈な個性の持ち主以外は、 歌を愛し海を愛し自然を愛する穏やかな種族のように思えます。 まあ、だからノルドールがアマンをおん出ていく時に「ヴァラールがやめろって言ってるんだから、やめなよ〜」と説得しようとし、激烈なノルドールに大勢のテレリが殺されてしまうわけですが。
 
 悲劇の物語に名前が残っているエルフには、シンダールが多いのです。
 何故が悲しい印象のつきまとう種族です。
 シンゴル(エルウェ)も、その娘ルシアンもシンダールですし、ベレグもシンダール。キアダンもシンダールです。
レゴラスの父・スランドゥイル、祖父のオロフェアもシンダール。裂け谷親子もルシアンの子孫ですから、シンダール王族(つーか、シンゴル王その人)の近い血縁です。
 このあたり、個別に語り出すと長くなりますので、また個人別の語りを別 にアップしたいと思います。

*エルフ―その愛*

 どうにも破滅的です。特に人間と愛し合ったりした日には、恋愛にしろ友情にしろ、どこをどうしても、寿命の一点で論じても、悲劇的です。
 で、このエルフ。 強弓のベレグを代表として、愛してしまったら盲目的という印象が拭えません。多くのエルフが(特に人間相手の場合)恋愛や友情のために、その不死の命を散らしています。
 例えば愛情がそこそこだったとしても、エルフは人間よりも誓言に縛られるようなので、誓ってしまったら最後、人間の身代わりに死んでしまったりもします。

 実は「シルマリル」を読むまでは、エルフの愛情というのは淡泊なものだと想像していました。フィジカル的にもメンタル的にもね。
 不老不死の種族が、そんなに燃え上がるような愛情を持つとは思わなかったんですよ。そんなんじゃ世の中エルフで溢れかえってしまうわ(^^;
 まあ、単に出生率が非常に低いというふうにも考えられますが。
 しかし、この「フィジカル的にも」っていうのは、映画「TTT」でイメージ覆されましたよ(^^;  そう。王様とアルウェンのキス・シーンです。あれは恋人が人間だからあんなに肉感的になるのか、それともエルフ全般 ああなのか?(笑)

 映画はさておいても、原書を見ていても、どうも「ツッコンでしまったら最後」というのが、エルフの愛のようですね。
 ベレンに惚れたルシアンしかり。トゥーリンを愛したベレグしかり。
 フィンウェと離れたくないからって自分の種族を急かしまくったエルウェ(シンゴル王)も、情の強いエルフですね(笑)。そのあげく、フィンウェのところへ行った途中でマイアのメリアンと出会ってしまい、ず―――っと「星々が幾年かを数える間じっと立ちつくしていた」 らしいですから、はた迷惑な一目惚れです(^^;

*裂け谷のエルフ*

 トップはノルドール。エルロンドさまです。エルフの三つの指輪のうち、一番力のある風の指輪・ヴィルヤの力で守られているので「最後の憩いの館」と呼ばれています。
 エルロンドさまの家系は複雑な血筋で、ノルドール、シンダール、マイア、人間と、ありとあらゆる種族の血統が入っています。エルロンド自体、半エルフ(ペレジル)と呼ばれていますからね。エルロンドさまの双子の弟は、人間として生きることを選び、ヌメノールの王家の祖となりました。アラゴルンの遠い遠いご先祖さまですね。そういう縁があるので、アラゴルンの家系は裂け谷で養育されたりするわけです。
 エルロンドさまと、その双子の息子のエルラダンとエルロヒア、溺愛の末娘・アルウェン。それにグロールフィンデルが有名どころですね。
 ちなみに映画ではまったくそんな親愛の情を見せないエルロンドさまですが、王様はエルロンドさまの養子です。原作では息子と呼んでいるのよ〜(^^;

*ロスロリアンのエルフ*

 トップは言わずと知れたノルドール、光のエルフ、ガラドリエルさま。ロリアンは英国風(笑)。女王様のほうが重要人物です。
  その最強ガラさまが
エルフの水の指輪・ネンヤを持っているわけですから、エルフの生息地の中ではロリアンが一番安全地帯でしょう。
  ガラさまの夫であるケレボルンは、シンゴル王の親族でシンダールの公子。ロリアンの国境警備隊長(だったかな?)のハルディアは、シルヴァン・エルフです。
 ケレボルンは指輪戦争後、スランドゥイル王の闇の森にお引っ越ししたりしますので、やはりシンダールはシンダール同士、昔のドリアスの思い出など、語り合うことも多かったのかもしれませんな。奥方が西へ去ってからの話なんですもの〜。恐妻家がちょっと同種族の古馴染みに妻のグチでもいいたかったのかも(笑)。


*闇の森のエルフ*

 トップはシンダール。金髪で花冠の王、スランドゥイルさま。

  宝石好き。大酒飲みな王様です(笑)。言わずとしれたレゴラスのパパ。
 ドリアス崩壊後、ノルドールの元で暮らすシンダールと合流することも、ノルドールと一緒に暮らすこともよしとせず、一握りのシンダールだけを引き連れて東の森の中に王国を築いたのがオロフェア&スランドゥイル親子。
 なので闇の森の王国は、王とわずかな貴族(という表現が「ホビットの冒険」にあります)だけがシンダール。国民はシルヴァン・エルフということになります。
 未訳の本の中には、オロフェアはシンゴル王の親族とも書いてあるようですので、上記にもありますが、ケレボルンと血縁関係があるとも考えられます。

 わずかに書かれているエピソードを見ても、闇の森のエルフの、他のノルドールとは違う考え方や意地っぱり(笑)具合が見てとれます。
 他のふたつとは違い、スランドゥイルはエルフの指輪を持っていません。指輪の守護がないわけですね。そのスランドゥイルのお膝下にサウロンが甦ってくるというのは皮肉な話ですが。
 とにかく独立独歩。ノルドールなんぞに従ってたまるかというような意地っぱりさ加減があります。そのせいで大勢の民を失ってしまったりもするわけですが、それでも歌い踊り宴会をする明るさを失わないのがここのエルフ。
 さすが天然エルフ・レゴラスの故郷だ(笑)。

 スランドゥイルの行動には、いろいろとドリアスのシンゴル王を偲んでいるようなところがあります。宮殿の作り方もそっくり。宝石をあつめるのも、シンゴル王の元で暮らしたドリアスの昔を偲んでいるように思えます。でないと、本当に光り物が大好きで強欲なら、自分の王冠もきらきらの宝石で作るでしょう? 花冠にしないよね〜 >と私は思っているんですが(笑)。

 スランドゥイルさま達の素晴らしかったところは、シルヴァンとともに森にとけ込もうとした、その生活スタイルでしょうか。
 ヴァラールに呼ばれる前の、シンプルなエルフの生活に戻ろうとしたシンダールの公子たちは、あえてシンダール風をふりかざす事なく、森で新しい生活を拓いていったようです。
 指輪戦争の後、モルドールに汚されたゴンドールのイシリアンに、その浄化のためにレゴラスが森のエルフを引き連れて移住します。あれは森のエルフであるシルヴァンだからできたことだったわけですね。ノルドールにはできない話だったわけだ。

 追記していうならば。
  他にシンダールとしては灰色港の領主であるキアダンがいます(「旅の仲間」プロローグに出てくる指輪をはめた3人のエルフの中で、白髪のエルフが彼だと思われる)。
 彼は、本当に古いシンダールですが、最後のエルフが海を渡るまで、エルフのための船を造りながら灰色港に残ると言ってますね。 エルフの指輪の最後の持ち主は彼だったのですが、その指輪は、よりガン爺に必要だろうというキアダンの判断のもと、戦うイスタリ(笑)に託されていました。

 本当に、いつでもノルドールのした事の尻拭いをするのはテレリなのね〜>シンダール好きの戯言か?(^^; ノルド好きには、もちろんまた別 の感想があると思われます (笑)。


―――個人別・エルフ考に続く―――



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